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原始生命から考えるエネルギー源の話

by in すあしの食卓革命 2019年7月7日

 

こんにちは!オーソモレキュラー認定ONEの Suashi 岡本です😊


ここでは「オーソモレキュラー栄養学」的な物の見方で、自身が学んだ栄養学に関する知識の整理の為にブログをアップしています。私の物の見方も入ります。決して「~は身体に悪い」とか「~を摂取した方が良い」とか制限や決めつけはなく、あくまでも人の身体の構造や体内での化学反応に注目した内容となっています。


ブログを読んでくださった方が、もっとご自身の身体に興味を持ち、何を食べるか、どう食べるか考えるきっかけになれれば嬉しいです😊

 


本日は
原始生命~旧石器時代~農耕革命の時代~現代までのエネルギー源の変化からみる食事の歴史のお話になります。

 


時は20億年前に遡ります。


人類も植物も何もない20億年前、地球の水中に浮遊する単細胞の原始生命。


糖だけが唯一のエネルギー源でした。


そして長い年月をかけて原始生命(原核生物ー核膜を持たない)が真核生物(核膜を持つ)へと進化を遂げます。

 

真核生物の細胞に入ったミトコンドリアは、脂肪を取り込み細胞のエネルギーとして利用できるようになります。

糖だけが唯一のエネルギー源だった原核生物がミトコンドリアのおかげで第二のエネルギー源として脂肪を使えるようになったのです。

ここで簡単にミトコンドリア内で産生されるエネルギー量(ATP)とミトコンドリアなしで産生されるエネルギー量(ATP) を簡単に比較してみます。

 

まずはミトコンドリアなしで産生されるエネルギーが作られる過程は嫌気性代謝と呼ばれています。

1分子のグルコース(ブドウ糖)が細胞に取り込まれ、解糖系という代謝によって2ATP のエネルギーが作られます。(嫌気性代謝=酸素を使わないでエネルギーを産生する)

 

一方、ミトコンドリアの中での代謝で作られるエネルギーは好気性代謝と呼ばれ、脂肪とタンパク質が脂肪酸とアミノ酸として細胞内に取り込まれ、アセチルCoAを生成し、細胞内のミトコンドリアの中でクエン酸回路~電子伝達系を通して30~34 ATP
のエネルギーを作ることができます。グルコースもアセチルCoAを通せばミトコンドリアの内でのエネルギー生産が可能です。(好気性代謝=酸素を使ってエネルギーを産生する)

 

少し難しいですが、ここではミトコンドリアのある、なしによって作られるエネルギー量の差を理解していただけたらと思います。

 

そして、ここから人類の歴史の話へと進みます。

 

人類の歴史が始まったのは数百万年前といわれています。我達の祖先はその間、狩猟採集民の生活で食べていたのは野生動物の肉や木の実等(高タンパク、高脂質、食物繊維)低糖質=血糖値を下げるホルモン インスリンをほとんど使わない食生活でした。

 

一方農耕の歴史が始まってからわずか1万年前、人類は栽培した穀物(小麦、稲、トウモロコシ等)を主食として食べ始めます。

摂取するカロリーの多くが糖質へと変化したのです。

 

例えば人類の歴史が400万年だとしたら、そのうち399万年は狩猟採集の生活で現在の糖質メインの食生活がまだ、たった1万年しか経っていないのです。

 

その為人類の身体の細胞は農耕が始まる前の旧石器時代に既に適正化され、今現在の私達の身体の細胞はまだ旧石器時代から進化していないと言われています。

 

そして1940年代より穀物が精製され始め、小麦の品種改良が進み、摂取する食物繊維や栄養価が減り、高糖質の食べ物(砂糖、はちみつ、甘い果物、甘い飲み物)が増え、現代病とも言われている、うつ病等の精神疾患やアトピー、喘息等のアレルギー疾患がここ数十年で急増しているのも普段食べている食べ物が大きく影響していると言われています。

 

狩猟採集の時代には殆ど分泌されなかったインスリンが、現代では食事ごとに上がる血糖値を下げる為、一日に何回もインスリンが分泌され、インスリン抵抗性(インスリンが効かなくなる)や過剰分泌で低血糖となる症状が増えてきています。

 

これではインスリンを分泌する膵臓や糖を分解する肝臓に過度な負担がかかり、疲弊させてしまいますね。

話は少し栄養からそれますが、人類の農耕の歴史の話は数年前のベストセラー ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史 上」では、非常に皮肉でインパクトのある言葉で表現されてましたので引用します。

「人類は農業革命によって、手に入る食糧の総量をたしかに増やすことはできたが、食糧の増加は、より良い食生活や、より長い余暇には結びつかなかった。むしろ、人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ。

 では、それは誰の責任だったのか?王のせいでもなければ、聖職者や商人のせいでもない。犯人は、小麦、稲、ジャガイモなどの、一握りの植物種だった。ホモ・サピエンスがそれらを栽培化したのではなく、逆にホモ・サピエンスがそれらに家畜化されたのだ。」

農業に限らず、現代の多くの人の生活が便利で合理的な反面、時間に追われたりするゆとりのない生活を強いられているのと同じ構図だと思うのは私だけでしょうか。


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